COLUMN
コラム
服についた絵の具汚れは落ちる?絵の具の種類別に落とし方を紹介
2024.04.26
「子供の服についた絵の具が落ちなくて困った…」という経験がある人もいるのではないでしょうか?絵の具の種類別に、落とし方や落とす際の注意点を紹介します。
目次
服についた絵の具汚れは落ちる?絵の具の種類別に落とし方を紹介
絵の具を使ったお絵描きは、子供の創造性や表現力を伸ばすのに最適な遊びです。ただ、絵の具の汚れは落ちにくく、後始末が大変ですよね。ちょっと目を離した隙に、服はもちろん壁や床、家具にまで絵の具がついていることも…。
特に、服についた絵の具の汚れは普通に洗っても落ちず、落ちないからといってゴシゴシこすると服を傷めてしまうのが悩みどころです。お気に入りの服や新しい服が絵の具汚れで台無しになるのは避けたいもの。
そこで今回は、服についた絵の具汚れをきれいに落とす方法を解説します。汚れを落とす際の注意点もご紹介しますので、参考にしてみてくださいね。
絵の具の種類と特徴
絵の具は、原料によってさまざまな種類があり、それぞれ汚れの落とし方は異なります。
まずは、一般によく使われている「水彩絵の具」「アクリル絵の具」「油絵の具」の特徴を確認していきましょう。
水彩絵の具
水彩絵の具は、未就学児から小学校低学年くらいまでによく使う絵の具です。水に溶けない性質を持った着色用の「顔料」と呼ばれる粉末と、水溶性の接着剤、湿潤剤、補助剤からできており、顔料の比率によって「透明水彩」と「不透明水彩」「半透明水彩」に分かれます。
幼稚園や小学校などでは、水で色の濃さを簡単に変えられ、薄く溶けば透明に、濃く溶けば不透明調になって下地を覆い隠せる「半透明水彩」が使われることが多いでしょう。
耐水性がなく、パレットなどについた絵の具は水で簡単に落とせますが、紙や繊維には定着しやすく、服に染み込むと簡単には落とせません。
アクリル絵の具
アクリル絵の具は、顔料、アクリル樹脂エマルジョン、補助剤からできている絵の具で、中学校や高校で使われることが多いでしょう。乾きが早く、接着力が強いのが特徴で、さまざまな素材への彩色に使われます。
ただし、乾燥すると少し色が変わり、水に溶けません。服にアクリル絵の具がついたら、できるだけ早く落とさなくてはなりません。
油絵の具
油絵の具は水分を含まず、顔料と乾性油のみでできている絵の具で、プロの画家や美術を専門に学ぶ学生、美術部などで使用されています。油と酸素が結合する化学反応によって定着するため、水彩絵の具やアクリル絵の具よりも乾くのに時間がかかる一方、彩色してから数日間は修正することができます。
プロのような重厚感のある絵を描くのには最適ですが、水に溶けず、服につくとなかなか落とせません。乾ききった後はさらに高い耐久性を発揮するため、汚れを落とすことは極めて難しくなります。
水彩絵の具の落とし方
水彩絵の具は、アルカリ性の洗濯石鹸や洗濯洗剤を使って落とします。
<用意するアイテム>
・アルカリ性の洗濯石鹸、洗濯洗剤
・歯ブラシ
・洗面器などに張ったお湯
落とし方の手順は下記のとおりです。
1. 洋服の絵の具で汚れた部分をお湯に浸す
お湯の温度は少し熱めの40~50℃が目安です。汚れた部分がしっかりお湯に浸るように入れて、しばらくつけ置きしましょう。
2. 絵の具で汚れた部分を洗う
絵の具で汚れた部分に洗濯洗剤、もしくは石鹸をつけて、歯ブラシでこすり洗いします。洗剤を塗布するときは、汚れにまんべんなく洗剤成分が行き渡るようにしてください。
また、歯ブラシで強くこすりすぎると服を傷めるため、優しくこするようにしましょう。
3. 絵の具が落ちるまで繰り返す
絵の具の汚れが落ちるまで、ステップ1と2を繰り返します。
4. 水ですすぐ
絵の具の汚れが落ちたら、きれいな水で服につけた洗剤を落とすようにすすぎます。
水彩絵の具は、上記でご紹介したアルカリ性の石鹸以外に、でんぷんのりを使って落とすこともできます。やり方は、上記の手順の洗剤部分をでんぷんのりに変えてもみ洗いしてから、普段どおり洗濯機で洗濯をするだけ。
でんぷんが繊維質の隙間に入り込んで絵の具の粒子を絡め取ってくれるので、きれいに落とすことができますよ。
アクリル絵の具の落とし方
アクリル性の絵の具が乾燥した後は、完璧に落とすのは非常に困難です。ただ、酸素系漂白剤と高濃度の洗濯洗剤を使えば、目立たない程度まで落とせる可能性があります。
<用意するアイテム>
・酸素系漂白剤
・洗濯洗剤
・お湯
落とし方の手順は下記のとおりです。
1. 洗濯洗剤で洗浄液を作る
洗面器などに張った、少し熱めの40~50℃のお湯に洗濯洗剤を適量入れて混ぜ、洗浄液を作ります。
2. 洗浄液に絵の具で汚れた服を浸し、もみ洗いする
服の絵の具で汚れた部分を、洗浄液の中にしばらく浸しておきます。服に洗浄液が十分染み込んだら、もみ洗いをしましょう。このとき、強くもんでしまうと絵の具の汚れが広範囲に広がるため、汚れた部分だけを優しくもむのがコツです。
3. 服についた洗剤を流す
もみ洗いである程度絵の具の汚れが落ちたら、服についている洗剤を流します。
4. 新しいお湯で漂白液を作り、服をつける
洗面器などに新しいお湯を張り直し、酸素系漂白剤を適量入れて漂白液を作ります。その中に服を1時間程度つけ置きしましょう。
5. きれいな水ですすぐか、いつもどおり洗濯をする
漂白液から服を取り出し、きれいな水ですすいでください。洗濯機でいつもどおり洗濯をしても大丈夫です。
油絵の具の落とし方
油絵の具は、一度服につくと落とすのが困難で、時間が経ってから元通りにするのはほぼ不可能です。油絵の具が服についたら、すぐに対処するようにしましょう。ついてから間もなく対処すれば、ある程度までは落とすことができるはずです。
<用意するアイテム>
・除光液やクレンジングオイル
・セスキ炭酸ソーダ(粉末状の物)
・酸素系漂白剤
・クエン酸水
・歯ブラシ
・不要なタオルやキッチンペーパー
落とし方の手順は下記のとおりです。
1. 除光液(クレンジングオイル)で絵の具の汚れた部分を叩く
服の裏側に使い古したタオルやキッチンペーパーを入れ、除光液もしくはクレンジングオイルを染み込ませた別のキッチンペーパーで、油絵の具で汚れた部分を叩きます。裏側に挟んだタオルやキッチンペーパーに汚れを移すようなイメージで、ポンポンと叩いていきましょう。
2. 汚れた部分にセスキ炭酸ソーダを振りかける
ある程度服の絵の具汚れが薄くなったら、セスキ炭酸ソーダを残った汚れの上に振りかけます。
3. セスキ炭酸ソーダの上に酸素系漂白剤をかける
振りかけたセスキ炭酸ソーダの上から、酸系漂白剤をかけます。
4. お湯をかけて5~10分程度置く
次に、ゆっくりとお湯をかけ、そのまま5~10分程度置きます。服に各成分が染み込むのを待ちましょう。
5. その上からクエン酸水をかける
しばらく置いたら、さらに上からクエン酸水をかけます。
絵の具汚れの上に最初にかけるセスキ炭酸ソーダは、アルカリ性で高い効果を発揮する分、服に与えるダメージも大きいのが特徴です。酸性のクエン酸水をかけてアルカリ性を中和させ、服を傷みから守りましょう。
6. きれいな水ですすぐ
最後に、きれいな水で洗剤をすすぎながら、服を歯ブラシでこするか、もみ洗いをして完了です。
完全に落としきれない場合は、ステップ1~6の手順を繰り返してもいいですが、必ず落とせるとはいえないため、あまり無理をしないことをおすすめします。
絵の具の汚れを落とす際の注意点
ここまでご紹介したとおり、服についた絵の具の汚れは、「早いうちに」「絵の具の種類に合った落とし方をする」ことでかなり軽減できます。ここでは、絵の具の汚れを落とすときに気をつけたいポイントをご紹介します。
できる限り早く洗う
絵の具の汚れは、ついたら間を置かずに落とすのが最大のポイントです。
自宅でお絵描きをしていて服についた絵の具汚れは、すみやかに子供の服を脱がせて洗ってください。幼稚園や学校で服に絵の具がついた場合には、帰ってきてすぐ伝えるようにするか、汚れた洋服を脱いで渡すように子供に言い聞かせておくといいでしょう。
洗剤と服の相性を確認する
洗う前に、使う洗剤で服にダメージがないかどうかを確認するようにしてください。
服にはさまざまな素材があり、洗剤との相性は服の素材によって異なります。例えば、漂白不可の表示がある洋服や、リネン(麻)のような繊細な素材の洋服に酸素系漂白剤や除光液などを使用すると、洋服本来の色が落ちてしまうことがあります。
洋服の内側についた洗濯表示のタグを確認したり、洋服の目立たない部分で色落ちテストをしたりしてから洗剤を使うようにしましょう。
デリケートなつくりの衣類はこすりすぎない
デリケートなつくりの衣類は、こすりすぎないことが大切です。デリケートなつくりの衣類を強くこすると、こすった部分の布が劣化するリスクがあります。せっかく汚れが落ちても、お気に入りの服の見た目が変わってしまっては本末転倒ですよね。洗うときは、衣類の特性も見ながら力加減するようにしましょう。
比較的摩擦に強く、つけ置き洗いやもみ洗いをしてもダメージが残りにくいポリエステルなどの素材でも、スパンコールやビーズなどの飾りがついている場合は注意が必要です。飾りのあいだに入り込んだ汚れを落とすときは、飾りを傷めないように配慮しながら洗ってください。
絵の具で汚れた部分だけを洗う
絵の具の汚れがついた部分だけを洗うことも大切です。絵の具の汚れが服についた際、服全体をお湯に浸してこすり洗いをすると、汚れた部分から落ちた絵の具が洋服全体に広がってしまいます。
まだらに広がった汚れはさらに落としにくくなり、見えないところについて落とし忘れる原因にもなるため、服に絵の具がついた場合は汚れた部分だけをピンポイントで洗うことを意識してください。
絵の具汚れを防ぐにはどうしたらいい?
絵の具汚れに対処する時間と手間を減らすため、幼稚園や小学生の子供が絵の具を使う際は、事前に対策をしておきましょう。
子供が絵の具を使うときは、「汚れても気にならない服装」が基本です。白い服やお気に入りの服は避け、「絵の具が落ちなくて着られなくなったら、捨ててもいい」「汚れても部屋着として気にせず着続けられる」ことを基準に服選びをすると、後悔せずに済みます。絵の具がついても目立ちにくい濃い色の服を選ぶのもいいですね。
もし、着替えさせる暇がない、汚れてもいいと思える服がないといった場合には、スモックやエプロンなどを着用させて服を守ることをおすすめします。スモックなら、子供が汚した部分が良い味になるため、きれいに落ちなくてもあまり気になりません。
あらかじめ子供と話し合って、「図画工作がある日の服」を決めたり、「絵の具を使うかもしれない日に持っていくグッズ」として、スモックやエプロンをセットしておいたりすると安心ですよ。
落とし方を知っていれば、絵の具の汚れがついても安心!
絵の具の汚れは、ついてすぐなら自宅でも比較的きれいに落とすことができます。子供に物を大事に使う大切さを教えるためにも、絵の具で汚れた服を安易に捨てるのではなく、ケアをして長く着続けるようにしたいものですね。ご紹介した絵の具の落とし方を、子供といっしょに実践してもいいかもしれません。
今回ご紹介したような方法を試してみても、「どうしても絵の具が落とせない」という場合には、クリーニング店に持ち込み、絵の具がついてからどのくらい時間が経過しているか、ついた絵の具の種類は何かといった情報を伝えてシミ抜きをしてもらいましょう。汚れと経過時間によっては、プロでも絵の具の汚れを完璧に落としきれないことがあり、費用がかかるのがネックですが、自宅でこすり洗いを続けるよりも効果は期待できます。
どうしても汚れてしまいがちな絵の具ですが、落とし方がわかっていれば、いざ汚れがついてしまったときも安心です。子供の創造性を育んでくれるお絵描きは、できるだけ自由に楽しませてあげましょう!